沖縄住居建築の特色を備える希少な文化財から感じる、戦前の沖縄の暮らし
「暮らしの発酵通信」で取材させていただいた、世界遺産ハンターひろきんぐさんに、北中城村にある国指定重要文化財 中村家住宅とその周辺をガイドしてもらいました。中村家住宅は暮らしの発酵ライフスタイルリゾートから車で約10分のところにあり、第二次世界大戦の沖縄戦を経ても沖縄の住居建築の特色をすべて備えている極めて珍しい建物です。
ひろきんぐさんとは駐車場で待ち合わせ。そこにいたのはタンクトップのイケメンマッチョ。「ん?あの人?…違うよな。…いや、彼しかいないしな…。」と若干不安になりながら近づいていくと正解でした(笑)。
世界遺産ハンターひろきんぐ。タンクトップの謎はガイドをお願いして聞いてみてください。
世界中でツアーガイドを経験し、2017年に沖縄に移住したひろきんぐさん。現在は、北中城村のツアーガイドとして活躍されています(「暮らしの発酵通信」の記事はこちら)。
入館料を払い、さっそく中へ・・・と歩き始めたら、「ちょっとストップ!ここなんだかわかりますか?」とひろきんぐさん。入館受付の反対側に浅い池のようなものがありました。昔の人の公衆浴場?野菜やお皿を洗ったりするところ?と思いつくままに答えていたら、ヒントをもらい、
「あ!馬!」
「正解!」
昔は移動手段や農作業の強い味方として馬が生活の中に溶け込んでいました。その馬を洗うところでした。
いよいよ中へ・・・と進もうと思ったら、住居を囲う石垣の前でまたもや「はいストップ―!」の声。
「北中城村にある世界遺産〈中城城跡〉の城主だった護佐丸が今の場所に城を移した際、築城の師匠として一緒に移り住んだ人がこの中村家の先祖と言われています。護佐丸は琉球王国きっての築城家と呼ばれていて、中城城跡はとても美しい石垣でできていますが、ここにもその面影が残っているということです。」
中村家住宅は大きな農家の住居と聞いたけれど、城主の師匠であったのなら中村家は多大なる影響力を持った一族だったんでしょうね。
やっと敷地の中に進むと、目隠しのための塀(ヒンプン)があったり、屋根の上にシーサーがいたり、瓦屋根の特長だったりと、一つ一つに歴史と文化とが詰まっていて、なかなか前に進めない(笑)。さすが、“沖縄の住居建築の特色をすべて備えている”中村家住宅。
住居の中を一通り巡った後は、敷地内の小道を歩いて今度は住居を上から見下ろせる場所へ。屋根を修理している業者さん(下写真中央)がいらっしゃるなぁと思いきや、なんと、屋根に登って作業をしていたのは中村家のご当主!中村家住宅は国指定の重要文化財ではあるけれど、所有者は個人なので、敷地の修繕管理などは中村さんがされているそう。現当主の中村さんが子どもの頃はここに実際に住まわれていたそうで、文化財の中で子どもが走り回ることを考えたらドキドキしてしまうのは私だけでしょうか。
中村家住宅を利用した琉球王朝宮廷料理の食事会やウェディングフォトも体験できるようになる予定だそうです。北中城村観光協会から情報をご確認ください。
ツアーガイドご希望の方はひろきんぐFacebookにご連絡ください。
ひろきんぐさんガイドは続く。