「趣味、出産。」昔の暮らしでラクな出産・楽しい子育て:中島直美さん

中島直美さん(愛知県/主婦)

6人の子どもを妊娠・出産。昔ながらの考え方の大切さを思い出したら、心も体もおだやかに、楽になってきた。古くて新しい、体と心が喜ぶ暮らしが好き。

「なぜ」がいっぱいの幼少時代

私が育った愛知県吉良町は、のんびりした田舎町。1歳9ヶ月の時に母が亡くなり、父と祖母に育てられました。すごく小さい頃、人って死んでしまうのに何で産まれてくるの?って思ってました。」 自然に囲まれた土地で中島さんは、たくさんの「なぜ?」を持って成長していった。 「父と祖母は牛を飼い、畑で野菜やみかんを育ててました。食事は季節の、いつも旬のものをたっぷり。高校生になって初めて、ハンバーグって家で作れるの!って、ショックで(笑)。それくらい、洋食が身近じゃなかった。」 家庭の中で自然と昔の日本の知恵を学んだ中島さん。当時の疑問は、家で飼っている牛が自力分娩できないことだった。 「『動物なのに自分で産めないの?』って思ってましたけど、出産を経験して、それがなぜか分かりました。牛舎の中では運動できないから、出産するための筋力が付かず「生む力」がなかったんです。草食動物の牛が穀物を食べると、乳腺炎になりやすく、父が牛の乳房にビワの葉シップを当てていたのを覚えています。」

 

子育てで学んだ食の大切さ

時代と共に暮らしが変化すると、体に変化が起きるのは人も同じだと中島さんは考える。 「一人目、二人目を産む頃までは、牛乳、肉、魚、卵を食べて普通の食事をしていました。良質なタンパク質が大事と思い、二人目を妊娠中には毎日がんもどきや油揚げ、豆腐など大豆食品を食べてました。そうしたら子どもが、生後半年に豆アレルギーと診断されたんです。」 妊娠中に体内に取り入れたものが子どもに影響し、出産後に母乳からアレルギー反応を起こすことがある。

大人になっても「なぜ?」を持ち続ける中島さんは、体に備わる本来の力が発揮できる食事を追求していった。 「三人目を産む頃は豆も食べず魚も控え、ご飯と野菜中心の食事を心がけました。つわりも出産も楽になり、乳腺炎にもなりにくくなって。昔の女性は野菜と米を中心に食べ、妊娠中も農作業をして、股関節を柔らかくしていたからお産が楽だったんです。昔ながらの暮らしをして化学物質を身体に入れなければ、体内の微生物がイキイキと元気に働き出すので、それが健康で楽しい毎日を送るコツかなと思います。」
 

食とは菌を体に入れること

「旬のもの、三里四方のものを食べなさいと昔から言われてきましたが、私は近頃、旬のものは、豊富な栄養を摂るためよりも、その季節その土地で活性化している菌を、野菜と一緒に体に入れるためだと思って食べています。人間の体も、森が育つ過程と同じで、多様な菌が集まって競い合えばこそ、早くその人の腸内環境に合った菌バランスに落ち着くと思います。その季節と土地に合った菌を体に入れることは、その季節を過ごしやすくすると思って、皮をむかない一物全体食で菌を丸ごといただいています。」

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

EM生活㈱に10年勤め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について全国各地を取材し、EM業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く理解を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める。

関連記事