食品残さを100%リサイクルして循環を生み出す
暮らしの発酵フェスタスピンオフとして企画された2泊3日の沖縄発酵バスツアー♪ 1日目は暮らしの発酵フェスタをそれぞれでお楽しみいただきました。2日目からがツアー本番!若干天候が心配だったものの、ここは皆さんの発酵パワーでいいお天気に。
発酵飼料を食べて仲良く暮らす鶏たち
まず向かったのは、宿泊先のホテル、コスタビスタ沖縄の直営農場「サンシャインファーム」。ホテルからバスで10分かからないくらいの近さにもかかわらず、まるで森の中にいるような気持ちのいい空間。農場の中には鶏舎も併設されている。現在は、すがすがしい風が吹き上げる農場だが、農場になる前は不法投棄が酷く、家電製品はもちろん、廃材、家まで埋まっていたのだとか。トラック何台分ものゴミを片付け、今では農薬・化学肥料・除草剤などを一切使用しない農場へと生まれ変わった。
ツアーの私たちを迎えてくれたのは、数千羽の鶏たち。ホテルから出る食品残さをEM*で1週間発酵させ、同様にEMで発酵させた米ぬかと混ぜてオリジナルの配合飼料を与えている。平飼いで抗生物質も与えず、発酵肥料を食べている鶏たちは温厚そのもの。ストレスがないので、肌をつつきあうことがなく、体がとってもキレイ。腸内環境が整っていると、性格が優しく、ストレスを感じることが少ないということが鶏たちを見ていてもわかる。発酵の奥深さをしみじみと感じた。 そんな鶏たちでも、エサやりの時には大興奮!クエーッ!コケーッ!!と、我先にとエサに群がっていた。やはり食べ物には食いつきがいいようだ。 *EMとは、乳酸菌や酵母などの発酵菌の集まりで、農業や畜産・環境浄化活動などに用いられている微生物技術です。通称EM菌。
EMで発酵させた鶏たちのエサ。嫌なニオイは全くなく、おいしそうな香りにすら感じた。
ここで採れた卵はホテルのレストランやスイーツに使用され、鶏たちは、卵だけではなくホテルと農場での循環も生み出していた。また、ホテル以外でも「愛卵(まなたまご)」ブランドとしてホテル内やホテル近隣の大手スーパーでも販売されている。「卵臭さがなくておいしい」「ふっくら仕上がるから扱いやすい」などと、オムライス専門店や洋菓子屋さんでも好まれているそう。
塩と海水と炭で生長がグンっとアップ!
農業で塩?海水?と「?」が浮かぶ方も多いのでは?ここサンシャインファームは、最新のEM技術の実践圃場でもある。EMを開発された比嘉照夫教授が打ち出したNowな農業技術が塩と海水で培養したEMとEM技術を導入した炭(WOW)!炭が農場の場を整え、塩と海水EMが植物への栄養を与えてくれるのだそう。
農場やその周囲で出た枝などを燃やして炭にしている。 (写真下)パイプの左が以前炭焼きをしていた場所。同時に同じ品種のニンジンを植えたところ、なぜか左の方が生長が著しかったそう。原因を考えたら、炭焼きをしていたことしか考えられなかったのだとか。写真では少しわかりにくいけれど、その違いにみんなビックリ!
「塩と海水EMをじゃんじゃん使うようになったら、セロリが塩味になってきたんですよ。」と農場を案内してくださった末広さん。そんなことを聞いたら食べずにはいられない!「食べたいです」とお願いし、その場でバリバリ。
塩味というよりも、塩をかけてしばらくして塩辛さが抜け、甘味が増したような味(スイカに塩をかけて少ししてから口に含んだような味)がした。セロリのエグミやセロリ臭さがなく、後味が爽やかで幸せ~。オリーブオイルを持ち歩いてサンシャインファームを歩けば、超新鮮とれたてサラダバーができるなぁと妄想が膨らむ。 野菜はもちろん、ホテルの食事にも利用されている。卵同様、近隣の大手スーパーではEM野菜コーナーが設けられ、人気の一品に。
農場では、塩・海水EM・炭の他には、鶏舎から出てくる鶏糞を肥料として利用している。鶏は消化器官が短いため、鶏糞には肥料成分が多く含まれているが、それゆえに腐敗しやすく、悪臭も放ちやすい。しかし、そこは発酵パワー!サンシャインファームの鶏たちが食べているのは発酵飼料で、出てくる糞も良質なもの。なおかつ平飼いすることによって、鶏糞が鶏たちの足でいい感じに踏み固められ、鶏舎の中で鶏糞が嫌気発酵する。鶏舎がニオわないのはこうした仕組みがあるからだ。
ホテルの食品残さが鶏のエサとなり、鶏が産んだ卵がホテルに戻る。鶏糞は良質な発酵肥料になって野菜を育み、ホテルで私たちにおいしさと笑顔を与えてくれる。最もシンプルな資源循環の仕組みは地球の笑顔も作り出していた。