自然の香りで深呼吸:香りと研究所 薗田優子さん
暮らしの発酵ライフスタイルリゾートでは、ホテルオリジナルのアロマ商品を販売している。ホテルスタッフと共にアロマ商品の開発を手掛けたのは、沖縄県にある〈香りと場研究所〉の薗田(そのだ)優子さん。薗田さんは、企業に向けた空間芳香や香りを基準とした環境改善などのアドバイス、オリジナルの香りの制作や商品開発、一般向けアロマ商品の開発と販売などを行っている。
自然の香りをギュッと集めたアロマ
「香りってダイレクトに訴えかけてきますよね。昼と夜で香りを変えるとさらに気分転換に良いんですよ。森や山に行って実際に自然に囲まれた時が一番リラックスすると思うんですが、それがなかなかできない人にこそアロマを上手に使ってほしいと思っています。
私は企業さんからの依頼を受けて香りのレシピ作りをしたり、オリジナルブレンドのアロマを作ったりしていますが、大切にしているのは自然の香りです。」
薗田さんの沖縄アロマブランド〈森旅〉(Instagram)
元々関東出身で一般企業に勤めていた薗田さん。スキューバダイビングが好きで沖縄に通ううちに「南国植物を育てたい」と思うようになった。仕事を辞めて沖縄に移住をしたのはいいものの、すぐに植物を育てる農家になれるはずもなく、雑貨屋に勤務することに。そこで出会ったのがアロマオイルだった。
「お客様にアロマをお勧めするには、自分が理解していないと説明できませんよね。それでアロマの勉強を始めたんですが、アロマも植物の力なんだ!と思ったら嬉しくなっちゃって笑。アロマオイルってどうやって作られるんだろう?とかを調べていくうちにどんどんアロマの世界に夢中になっていきました。
独立して企業向けにオリジナルのアロマブレンドの開発をする仕事を始めました。これまでも、様々な企業さんからお声がけいただいてアロマを作っています。私の名前が出ることはほとんどないのですが、沖縄に来た時にどこかで香りを楽しんでいただいているかもしれませんね。」
ホテルブレンドのアロマ商品を開発
「今は宜野座村(ぎのざそん)に住んでいますが、以前は暮らしの発酵ライフスタイルリゾートがある北中城村に住んでいました。地域のご縁でホテルのオリジナルアロマ商品の開発をさせていただくことになり、最初に作ったのが〈No.1 GRACE〉です。コンセプトはガーデンパーティ。自然と共にある暮らしを大切にするホテルだからこそ、ホテルの中でも沖縄の自然の香りを感じていただきたいと思って作りました。沖縄らしさを表現するためにタイリン月桃を使い、さわやかで明るく、すっきりと元気になれるような香りになっています。今日一日を元気に過ごそう!という時に使ってほしいですね。
〈No.1 GRACE〉ハーブが囲む木陰の庭をイメージした、ほんのりと甘さを感じる爽やかな香り。(オンラインショップで見る)
次に作った〈No.2 CALM〉は夕刻のリッチな時間をイメージしています。家に帰ってきたけどまだ少し元気はある。でもリラックスして癒されたい、そんな時間におススメのアロマです。こちらは沖縄県民になじみの深いシマ月桃を使っています。
〈No.2 CALM〉リッチで心地よい夕暮れの静けさをイメージした、深みのあるエキゾチックな香り。(オンラインショップで見る)
ホテルは不特定多数の方がいらっしゃるので、香りを作るのがとても難しかったです。香りは好みが分かれるし、いい香りだとしても場合によっては、苦い想い出とセットで思い出してしまうことがあります。かといって、特徴の無い香りでは『暮らしの発酵ホテルに来た!』とか『あのホテルにまた行きたいね』と記憶に残すことができません。何度も香りを検証して完成しました。」
沖縄では様々な用途で使用される月桃。精油や蒸留水では主に葉を利用する。(左)タイリン月桃、(右)シマ月桃。(写真提供:日本月桃㈱・㈲月桃農園)
エッセンシャルオイルとは?
エッセンシャルオイルとは、植物から抽出された純度100%の天然のオイル(精油)のこと。エッセンシャルオイルを用いてトリートメントなどに使用するために加工されたオイルの総称をアロマオイルと言う。
ホテルのエントランスで焚かれているのはオリジナルエッセンシャルオイル〈No.1 GRACE〉。癒しの香りでお出迎え。
香りと場研究所 代表 薗田優子さん
神奈川県出身。大学卒業後、大手家電メーカーに就職。 2003年沖縄に移住。県内の植物園や雑貨店で勤務した後、アロマテラピーアドバイザーの資格を取得。エッセンシャルオイルアートブレンディング&ケミストリーコースの講座を修了し、香りと場研究所を設立。2017年に県内企業が開発した新商品の魅力を競う「磨け!輝け!琉球の宝物創造プロジェクト」でアロマセットがグランプリを受賞。
2022年12月取材「暮らしの発酵通信」16号掲載